大人は子どもよりも、むし歯になりにくいイメージがありませんか?
確かにその傾向がありますが、年齢を重ねるにつれてむし歯の罹患リスクは徐々に高まります。
その理由や対策について、記事の中で詳しく説明します。

 

 

高齢者ほど罹患しやすいワケ

主に、次の4つの理由が挙げられます。

 

1.歯周病に罹患しやすいため

歯根(歯と歯茎との境界部分)に生じるむし歯を「根面う蝕」と呼びます。加齢や歯周病で歯茎が下がり、露わになった根っこの部分が侵蝕されます。
エナメル質で覆われていない部分なので、一度蝕まれるとあっという間に進行するでしょう。
健康な歯だけでなく、以前被せ物をした歯の根に生じることもあるので気を付けてください。
加齢とともに、歯茎が後退したと感じる方は危険のサインかもしれません。
歯茎が下がると知覚過敏にもなりうるため、日頃から健診を受けて口腔状態をチェックしてもらうことが大切です。

 

2.唾液の分泌量が減るため

加齢とともに口周りの筋肉を動かさなくなると、唾液の分泌量が減ってドライマウスのリスクが高まります。
またストレスの蓄積や、持病などが関わっている可能性もゼロではありません。
唾液が減少すると、口の中の食物残渣を洗浄できなくなります。また初期むし歯の再石灰化が追い付かなくなり、重度のむし歯へとつながります。
就寝前の落ち着いた状態で、唾液腺を軽く揉みほぐすとよいでしょう。耳や顎の下をやさしくマッサージし、唾液の分泌を促してください。

 

3.補綴物の奥で二次カリエスが生じるため

過去に治療したむし歯が再発することを「二次むし歯(二次カリエス)」と呼びます。
再発リスクと年齢に関わりはありませんが、時間の経過とともに危険性が高まるため注意が必要です。
二次カリエスになると、以前の補綴物をいったん外してから歯を大きく削らなければなりません。再びフタをすれば治療は終わりますが、場合によっては抜歯や抜髄を余儀なくされることもあるでしょう。
ちなみに抜髄済みの歯が、再発時に痛むことはありません。一見よいことのように思えますが、進行するまで気付けず抜歯を強いられるケースもあるでしょう。
健康な歯を少しでも長く使えるよう、日頃から予防に注力してくださいね。

 

4.加齢とともにエナメル質が擦り減るため

加齢とともに、歯の表面のエナメル質が少しずつすり減ります。酸に蝕まれやすい状態となり、あっという間にむし歯になるでしょう。加齢以外に、食いしばりや歯ぎしりといった悪習癖が原因になることもあります。

 

二次カリエスを防ぐために

むし歯は口の中で繁殖した細菌が歯を蝕むという、感染症の一種です。
問題がある箇所を削って治療しても、口の中に多くのむし歯菌が残存しているとほかのところがダメになってしまうでしょう。
有効な予防策としては、口腔内の細菌数を減少させるほかありません。
日々のブラッシングでプラークを除去するとともに、歯科医院で定期健診を受けることがポイントです。
ご自身で歯を磨くときは、天然歯と補綴物の境目を入念にケアすることが大切です。必要に応じてフロスや歯間ブラシを併用し、歯と歯の間のプラークなども欠かさず取り除いてください。歯質を強めるために、フッ素が配合されたマウスウォッシュや歯磨き粉を使うのもよいでしょう。
定期健診を受ければ、口の中をチェックしてもらえるだけでなく、専用の機器で口腔内をキレイにしてもらえます。日々のブラッシングで落とせない歯石などは、プロの手によって取り除いてもらいましょう。

 

まとめ

高齢者がむし歯に罹患しやすい理由の一つに「加齢にともなう組織の衰え」が挙げられます。
歯茎が下がって根っこが露わになると、知覚過敏の原因にもなりうるでしょう。噛む力が衰えると、脳への刺激が減って認知症のリスクが上がるという研究結果もあるようです。とにかく悪循環でしかありませんよね。
お口の健康を保つために、日々の口腔ケアと定期健診の受診を徹底しましょう。

田島デンタルオフィス