大人になった証として象徴的なものの一つに「乳歯が抜ける」という出来事があります。抜けた歯をどの様に保存するか、子供の乳歯が抜けた時に困っている親御さんもいらっしゃると思います。思い出の出来事としてどの様に扱うのが理想なのでしょうか。今回の記事では、子供の乳歯が抜けてしまう前の事前知識として、乳歯が抜けた時の保存方法や、国内外の乳歯が抜けた時の習慣などをご紹介いたします。

乳歯は何で保存するのがベスト?

現在のお住まいがアパートやマンションなどの場合は、一般的に言われている屋根の上に投げるという行為も出来ない方もいらっしゃると思います。その場合、そのまま乳歯を捨ててしまう方が多いと思います。実は、乳歯を保存したいという方のために、抜けた乳歯を保存する「トゥースケース」と呼ばれるものがあります。多くの歯科医院でも取り扱いがされているので是非ご相談してみて下さい。素材は、プラスチックやフェルトなど色々な種類がありますが、特に防湿効果や抗菌作用にも優れた桐の箱は、日本の天気と相性が大変良いので推奨しています。近頃は、デザイン性にこだわったトゥースケースが歯科医院以外でも販売されていますので、もしかすると一度は目にしたことがあるかもしれません。また、「自分以外の人は、子供の乳歯が抜けた時どのように保管するのだろう?」と調べる方も、インターネットやスマートフォンの広がりによって多くなっている様です。例えば、「トゥースケース」を自作でオリジナリティのあるものを制作し、SNSへ写真を投稿している方も増加傾向の様です。

なぜ乳歯を屋根へ投げるのだろうか

 

日本では屋根の上へ放り投げる時は下の乳歯が抜けたら、縁の下に投げる時は上の乳歯が抜けたらといった風景が色々な家庭で見られました。これを行う理由は、「放り投げた方向へ次に生えてくる永久歯がきちんと生えるように」という意味が込められています。外国では、様々な国で乳歯が抜けた時の習慣があります。イギリスでは、子供たちは「家に今夜はトゥースフェアリーがやってくる」と乳歯が抜けると嬉しそうにします。トゥースフェアリーの意味は、子供の乳歯が抜けた際に、枕の下に入れて寝るとその抜けた歯を持って帰り、乳歯と引き換えにコインと交換してくれる妖精のことを呼びます。子供たちにとっては乳歯が抜けると小さなご褒美が手に入るという嬉しい出来事になっているのです。各国の習慣は違っていても、乳歯を扱う大切なイベントで、そこに子供たちの色々な思い出を込めるというのは一緒のようです。

歯髄細胞は未来の可能性?

今までご紹介した放り投げたり、ケースにしまって保存するのではない全く違う保存のやり方が歯科の世界で注目されています。それは「抜けてしまった乳歯をどのようにするか?」という疑問の一つの回答になっており、それが「歯髄細胞バンク」と呼ばれるものです。「歯髄細胞バンク」というのは、若く元気な歯髄細胞(しずいさいぼう)という抜けた乳歯の中にある細胞を冷凍で保存し、将来の期待されている再生医療に備えることです。再生医療についてみなさんはどれくらいご存じでしょうか。「iPS細胞」という言葉はニュースを通じて耳にしたことがあるかもしれません。損傷した臓器などを修復することが出来るようになることを再生医療と言い、近い将来、歯髄細胞のような人の細胞を活用した再生医療が医学の主流になるかもしれません。抜けた歯の中にある歯髄細胞はこれから大きな可能性を持っていると言えます。

健康な歯で100年時代を乗り越えよう

 

歯を健康に保ちながら人生100年時代を過ごすことは思っているよりも大変なことかもしれません。歯髄細胞バンクを通じて自分自身の細胞を保存し、再生医療を受けられる様に準備をすることも選択肢の一つになってくるでしょう。増殖能力が大変高い歯髄細胞は、1本の歯から複数回に亘る治療に必要な幹細胞が手に入ることが報告されています。しかし、歯髄細胞も加齢とともに衰えていく為、年齢が若いうちに保管・採取された元気な歯髄細胞が、より効果的な治療結果をもたらす可能性があります。一度歯髄細胞バンクの活用を検討してみては如何でしょうか。

田島デンタルオフィス