前回は歯ぎしりに3つのパターンがあることや、起こる原因を紹介しました。
今回は、具体的な症状や対処法について解説します。

 

1.歯ぎしりによって起こる症状

1-1.歯周病が悪化する

歯周病は、歯に異常な負荷がかかると進行しやすくなります。歯ぎしりは歯に強い負担をかけ続けるため、歯周病をどんどん悪化させる恐れがあるのです。

1-2.歯が欠損する

歯へ持続的な負担がかかると、欠損につながる場合があります。最悪の場合は歯を失うこともあるため、注意が必要です。
 
 
 
 
 
 
 
 

1-3.知覚過敏を起こす

歯の根元へ持続的に負担がかかり、表面のエナメル質が剥がれて知覚過敏になります。また歯の噛む面が大幅に擦り減って象牙質が露出したり、表面に小さな亀裂が複数入ったりすることも知覚過敏の要因となるでしょう。

1-4.被せ物や詰め物、差し歯が脱離しやすくなる

歯に何らかの人工物がある場合、歯ぎしりによる歯の摩擦によって取れやすくなります。

1-5.顎関節症状を起こす

歯ぎしりによって周辺の筋肉がこわばり、顎関節へ過剰な負担がかかるようになります。次第に口の開閉がしにくくなったり、痛みや音が出たりと顎関節症の症状が出始めるでしょう。

1-6.歯が削れて短くなる

歯と歯が擦れることで噛む面が削れ、徐々に短くなります。場合によっては、やがて歯がしみるようになるでしょう。これは歯が擦り減って、神経との距離が縮まっていくためです。

1-7.噛んだときに痛みや違和感が生じる

歯ぎしりによって歯が揺さぶられ、噛み合わせたときに痛みや違和感が生じるようになります。これは歯と歯槽骨との間にある「歯根膜」が、歯ぎしりによって損傷を受けるためです。

1-8.骨が盛り上がってくる

食いしばりや歯ぎしりといった悪習癖がある方には、骨がコブのようになる「骨隆起」が見られます。
上顎の天井や下顎の小臼歯のあたりに見られることが多く、人によっては違和感を覚えるようになるでしょう。

1-9.首や肩が凝りやすくなる

歯ぎしりをすると、「咀嚼筋」と呼ばれる筋肉がこわばります。その結果、首や肩の筋肉が張って凝りやすくなるでしょう。噛むための筋肉は、口周りだけでなく首や肩、頭部にまでつながっていることを忘れないでください。

1-10.頭痛

強く噛むと、顎から側頭部までつながっている「側頭筋」がこわばって頭痛を引き起こします。また首や肩などの筋肉の凝りが、頭痛につながるケースもあります。

1-11.エラが張る

歯を擦り合わせることで、顎のエラ部分(咬筋)やその周辺の筋肉が酷使されます。咬筋のみが発達し、いわゆる「エラが張ったような」見た目になるでしょう。見方によっては、顔が大きくなったと感じることもあります。

 

以上が、歯ぎしりによって起こりうる症状です。
とても多いですよね。
口周りだけでなく、肩や頭にまで及ぶことに驚いた方もいらっしゃると思います。
では実際に、歯ぎしりをしているとわかったら、どのように対処すべきなのでしょうか?

 

2.適切な対処法

前述した症状が、1つでも当てはまる場合は歯ぎしりの可能性を疑ってください。家族から直接指摘を受けたことがある人や、明らかに歯が擦り減っている人は要注意です。
早めに歯科医院を受診し、適切な治療を受けましょう。

 

2-1.ボトックス治療

美容に詳しい方は、聞いたり実際に経験したりしたことがあるかもしれません。顔や眉間のシワを取り除くために、美容外科でも取り入れられる手法です(歯科医療では、歯ぎしりの筋肉のために応用したものを使用しています)。
無毒化したボツリヌス菌を、過緊張状態の筋肉へ注入することで筋肉の動きを弱めます。発達した咬筋を小さくし、小顔にする効果も期待できます。
効果には個人差がありますが、6~10ヶ月程度を目安と考えておいてください。

2-2.口周りの筋肉のマッサージ

過緊張状態の筋肉を、マッサージによってほぐします。口の周りの筋肉が緩和し、場合によっては小顔効果も見込めるでしょう。

2-3.マウスピースを用いた治療

就寝時にマウスピースを装着し、大切な歯を守る治療です。歯だけでなく、詰め物や被せ物といった補綴物が外れることも防げます。悪習癖が治らないうちはマウスピースが擦り減るかもしれませんが、作り直しができますのでご安心ください。

2-4.噛み合わせの治療

噛み合わせを整えることでストレスの緩和になり、歯ぎしりが少なくなる可能性があります。ただ歯列矯正を行うとなると、治療期間や費用の問題が発生するかもしれません。気になる方は、事前にかかりつけ医へ相談しましょう。

田島デンタルオフィス