「起きた時に顎が痛いけど何でですか?」 「日中食いしばりが気になるけどそのままでも大丈夫ですか?【前編】
あなたには、歯ぎしりや食いしばりといった悪習癖がありますか?中には寝ているときなどに、無意識下で行っている方もいらっしゃるかもしれません。
そこで今回は、歯ぎしりが及ぼす影響や適切な対処法を解説します。
自覚がある方もない方も、自分に起こりうる内容だと思ってぜひ読んでみてください。
歯をキリキリとさせるのが「歯ぎしり」?
歯ぎしりといえば、寝ているときに歯をキリキリさせている印象がありませんか?そのようなケースが多いのは確かですが、中には音がまったくしないものもあります。どちらかといえば、後者の方が多いかもしれません。
自分自身がキリキリという音で目覚めて、悪習癖に気付くことができればベストです。しかし音が出なければ、放置されて歯や顎などに悪影響を及ぼします。
まずは次の10個の項目を確認し、無意識に歯ぎしりをしていないかどうかチェックしましょう。
チェック項目
1. ゲームや読書、スマホの操作中など、普段ふとした瞬間や物事に集中しているときに歯を食いしばっていることがある
2. 起床してすぐに、頬や顎の筋肉に違和感を覚える(凝りや張りなど)
3. 舌や頬の内側に、歯を押し付けたような跡がついている
4. 歯の根元が削れているように見える
5. 歯が擦り減っており、短くなったと感じる
6. 上の歯の頬の内側、下の歯の内側、上顎の中央のいずれかに骨のこぶが見られる
7. 知覚過敏である
8. 詰め物が割れたり取れたりしがち
9. 歯に亀裂が見られる
10. 家族や友人から直接指摘されたことがある
あなたはいくつ該当しましたか?
YESの数が多いほど、歯ぎしりをしている可能性が高いです。判断できないときや不安なときは、かかりつけ医に相談して診てもらいましょう。
1.歯ぎしりの種類
大きく分けて、次の3つのタイプがあります。
症状や特徴を、1つずつ説明します。
1-1. グラインディング
上下の歯をキリキリと擦り合わせるタイプのものを「グラインディング」と呼びます。音が出るため、家族だけでなく自分自身で気付くこともあります。自覚がある場合のほとんどが、こちらに該当すると考えてよいでしょう。
1-2.クレンチング
擦り合わせるのではなく、グッと噛みしめるのが「クレンチング」です。音が出ないため、ご自身も周囲の人も気付きにくいという難点を抱えています。強い負荷が継続してかかるので、知らず知らずのうちに歯へ大きなダメージを与えます。
1-3.タッピング
その名の通り、タップをするように素早くカチカチと音を立てるタイプです。
1は就寝時のみですが、2と3は起きている間にも行われるのが特徴です。ご自身の行動を振り返ったときに、心当たりがある方もいらっしゃるかもしれませんね。
歯ぎしりが及ぼす影響
継続的に行われている場合、意外と大きなダメージを与えているかもしれません。場合によっては、ご自身の体重もしくはそれ以上の力が歯へかかってしまうためです。鏡でご自身の姿を見たときに、前歯の高さが変わっていたり擦り減っていたりする方は注意が必要です。
2.原因
原因は、はっきりとは解明されていないのが実情です。ただ、次に紹介する5つの因子が深く関係しているでしょう。
2-1.ストレス
原因として最も有力視されているのが、精神的な問題です。日常生活で感じるストレスが筋の緊張を引き起こし、口周りの噛む筋肉が張って「凝り」になります。それが歯ぎしりへとつながるでしょう。
2-2.不正歯列
歯並びが乱れていても、筋肉が柔らかいうちは何かと対応できます。しかし加齢とともに筋肉や関節が硬くなってくると、補いきれなくなり、やがて歯ぎしりへとつながるでしょう。
2-3.不正咬合
噛み合わせは顎骨の成長だけでなく、詰め物を使ったむし歯治療や歯周病の進行などによっても変化します。また、加齢に伴う筋肉の衰えも例外ではありません。
少しずつ変化していく噛み合わせに適応するために、歯ぎしりが起こるとの説も一部で囁かれています。
2-4.日常生活での悪習癖
日頃の食いしばり癖や歯をカチカチと合わせる悪習癖が、就寝時に起こることもあります。これは普段の癖を、筋肉が記憶するためです。
2-5.顎関節の形状変化
加齢とともに顎関節が擦り減り、徐々に平坦になります。歯はその形状に合わせて変化するため、顎関節の形状変化によって歯ぎしりが起こるとされています。
次回も引き続き、同じテーマでお話しします。
起こりうる症状や、対処法について詳しく解説していきます。