「インプラントって差し歯の事ですか?」【後編】
前回のブログでは、インプラントと差し歯の相違点を紹介しました。
今回も引き続き、同じテーマを取り上げてお話しします。
差し歯に起こりやすいトラブルの一つに「歯根破折」がありますが、ヒビや割れはある日突然生じるものです。
せっかく差した歯をダメにしないよう、基本的な注意点を押さえておきましょう。
この記事を読んでおけば、何かあった場合に落ち着いて対処できるはずですよ!
1.差し歯の注意点
「くさび状にした歯を歯根へ差したもの」を差し歯といいます。日常生活において大きなダメージを受けると、歯根が割れてダメになる恐れがあるので気を付けましょう。
1-1.歯根を割らないためには?
根っこの部分が破損した場合、抜歯が必要になります。
厚みがないほど割れるリスクが高いので、土台選びは慎重に行いましょう。保険が効くのは金属製ですが、適用外のファイバーコアなどをあえて選択するのも一つの方法です。しなやかな素材なので、割れるリスクは低いといえるでしょう。
また歯ぎしりや噛みしめなどの悪習癖も、破折を招く原因です。自覚がある方はかかりつけ医に相談して、専用のマウスピースなどを用意してもらいましょう。
1-2.割れや破折が起こる理由
歯にヒビが入ることを「歯根破折」といいます。割れや破折は、主に次の理由で起こります。
強度が低下するため
抜髄(神経を除去する処置)から時間が経ったときに、残存歯の厚みが不足していると歯根の強度が低下します。その結果、割れやヒビにつながるでしょう。
細菌感染も、歯を脆くしてダメにしてしまう一つの要因です。
悪習癖によって歯がダメージを受けたため
歯ぎしりや噛みしめなどの悪習癖があったり、硬いものばかりを食べたりしている方は歯根をダメにする可能性が高いです。ブリッジの支えになっている歯や、義歯がある方も注意した方がよいでしょう。
不慮の事故や転倒などによる、外的ダメージにも気を付けなければなりません。
合わない補綴物や根管治療を受けたため
適合しない補綴物や土台を使用した場合、応力(※)が一部分に集中して歯根がダメになる可能性があります。根管治療も例外ではないので、受ける機会がある方は注意しましょう。
※外的刺激があった場合に、その内側で発生する力のこと
1-3.割れや破折が起こるとどうなる?
神経の残った歯が割れた場合、初期段階では若干の痛みや染みが生じます。その後、時間の経過とともに痛みが増し、平常時でもズキズキとした痛みを感じるようになります。最悪の場合、眠れないほどの痛みに襲われてしまうでしょう。
一方で抜髄後の場合、破折した箇所から細菌が侵入して歯肉が炎症を起こします。膿や腫れ、噛んだときの違和感がある場合は症状の進行が疑われます。
歯根破折は徐々に生じるものではなく、寝ているときや食事中、転倒時などに突然起こります。
現段階で適切な治療方法はなく、どのような理由であれ抜歯が必要になります。
ちなみに歯を失う理由として、一番多いものは何だとおもいますか?
1位は歯周病(42%)、次いでむし歯(32%)、歯根破折(11%)、歯列矯正(1%)という結果でした(その他の理由が13%)。
ツートップに口腔トラブルが挙がっていますが、近年は歯科検診の普及などにより予防しやすい環境が整いつつあります。
これから先は、破折によって歯を失くす人の割合が徐々に増えるかもしれませんね。
いずれにせよ、大切な歯を1本でも守るための努力が必要です。口腔ケアを徹底するとともに、できるだけ破折を起こさないような生活を送りましょう。
もし何らかの違和感が生じた際は、早めに歯科医院を受診することが大切です。
1-4.ヒビが入ったときの処置について
歯根にヒビが入ったら、基本的に抜歯が必要になるというのはこれまで説明した通りです。
しかし割れた箇所によっては、そのまま保存できる可能性があります。例えば、2本の根を残したままで奥歯の根が折れてしまった場合。割れた側の根を抜き、一方の歯根を活かすという処置がとれるかもしれません。
また歯根の少し上に位置する「歯冠部」で割れた場合も、根管治療や被せ物を付けることで保存できる可能性があります。
治療前に綿密な検査を受けて、最適な提案をしてもらいましょう。そのうえで、患者さまご自身が望む治療法を選択できればベストです。
「抜歯」や「抜髄」と聞いて、何も感じない方は少数派です。ですが処置を恐れて放置していては、悪化の一途を辿るばかりです。
周囲の歯に悪影響を及ぼさないためにも、違和感が生じた際は早めに歯科医院で診てもらいましょう。
田島デンタルオフィスでもインプラントや差し歯に関する相談を承っていますので、名古屋市中区で歯科医院をお探しの方はぜひ一度ご来院ください。お電話はもちろん、Webからの初診予約も受け付けています。