近年SNSやメディアで耳にすることが増えた「インプラント」。
一体どのような治療であるか、あなたはご存知でしょうか?
時々「差し歯」と混同している方がおり、確かに「歯茎に埋入されている」という点では共通しています。ですが両者には、明確な相違点が存在します。
どのような違いがあるのか、記事の中で詳しく解説します。

 

 

 

1.インプラントと差し歯の違い

歯根を失った場合に適用されるのが「インプラント」

口腔トラブルなど、何らかの事情で歯根まで失った場合に適用されるのが「インプラント」です。チタン製の人工歯根を外科手術で埋め込み、なじんだことを確認したのち被せ物をするというのが大まかな流れです。
なじむというのは「人工歯根が骨に結びつく」ということを意味しており、少々時間がかかります。
また外科手術は基本的に日帰りですが、少なからず心身へ負担がかかるのも懸念点の一つといえるでしょう。

 

保険適用について

現段階では保険適用外となるため、患者さまの全額自己負担です。近年はデンタルローンやクレジットの分割払いを取り扱う歯科医院も増えているので、経済的な問題で二の足を踏んでいる方は事前にチェックしてみてください。

 

歯根が残存している場合は「差し歯」

パッと見は歯がないようでも、歯根が残存していれば差し歯で治療できます。残った部分に「コア」という土台を立てて、上から被せ物をするという流れです。
ただし歯根の内部が汚染されている場合は、すぐ治療に取り掛かれません。消毒などを行ったのち、治療を開始することになるでしょう。

 

保険適用について
素材によって、保険が効くものと効かないものとがあります。
まず前者は、プラスチック製の白い被せ物を使用します。費用がリーズナブルである反面、経年劣化しやすいという難点を抱えています。時間の経過にともない、少しずつ黄ばみが生じてくるでしょう。
また土台に使用する金属の影響で、歯茎が黒っぽくなる可能性もあります。金属アレルギーの心配はまずありませんが、ゼロとは言い切れません。
プラスチック製の補綴物は前歯に使われるのが一般的ですが、症例によっては奥歯も銀歯ではなく白いプラスチックにできる可能性があります。詳細はかかりつけ医に確認してみてくださいね。
一方で保険適用外となるのが、セラミック製の補綴物です。透明度が高いので、経年劣化を起こす心配はまずありません。
天然歯のような自然な白さをしているので、審美性を高めたい方に適しています。またセラミックは、人体にやさしいのも魅力の一つです。金属アレルギーや、歯茎の黒ずみを起こす心配がないでしょう。

 

 

2.インプラントの注意点

人工歯なのでむし歯になる心配はありませんが、その周りが細菌感染を起こすと一大事です。
「インプラント周囲炎」という歯周病になると、最悪の場合インプラントが使用できなくなります。せっかく埋入したものが、細菌に蝕まれて脱落してしまうのです。
考えただけで恐ろしい話ですよね。
天然歯に比べて、インプラントの方が周囲の組織と結び付きにくい構造をしています。治療後は、普段以上に丁寧な口腔ケアを心がけてくださいね。

 

インプラントを長持ちさせるために

何より大切なのは、埋入したインプラントの周りにプラークを溜めないということです。
毎日の口腔ケアを徹底するとともに、数ヶ月に1回は歯科医院の定期検診を受けてください。
自宅でのセルフケアと、歯科医院でのプロケアを併用することによって口腔内をより清潔に保てます。
検診では歯科クリーニングのほか、口腔状態のチェックやブラッシング指導などを受けられます。口腔トラブルの早期発見・治療のためにも、定期的に通院するよう努めてくださいね。
ちなみにインプラント周囲炎の危険因子として、糖尿病や喫煙習慣などが挙げられています。できるだけ禁煙に励みつつ、バランスのよい食事や十分な睡眠など、規則正しい生活を心がけましょう。

 

今回はここまでです。
次回も同じテーマを取り上げてお話ししますので、興味がある方はぜひご覧になってくださいね。

田島デンタルオフィス