「目立ちにくい矯正方法」として、マウスピース装置が注目されているのをご存知でしょうか?当院に来られる患者さまの中にも、治療中であることを第三者に知られたくないとおっしゃる方が多くいらっしゃいます。

ただどのような方法で歯並びを整えるにしても、すべての装置にメリットとデメリットが存在します。それぞれの特徴を知り、ご自身に合った方法で治療することが大切です。特に歯列矯正は、ほかの治療に比べて長い期間を要します。後悔しないためにも、数ある選択肢の中から最適なものをじっくりと検討しましょう。

今回は前編として、ワイヤー矯正のデメリットを紹介します。マウスピース矯正との違いも解説しますので、ぜひ比較しながらご検討ください。

マウスピース矯正との相違点

「歯の矯正」と聞くと、歯にワイヤーを取り付けている姿を想像する方が多くいらっしゃいます。それは従来のワイヤー矯正であり、近年は透明のマウスピースを用いて行う「マウスピース矯正」が広く普及しています。第三者から気付かれにくいという特徴があり、近年希望される方が増えている矯正方法です。
用いるマウスピース装置は、患者さまご自身の歯型をもとに作成します。段階ごとに患者さまご自身で装置を交換していただき、それに伴い歯が移動するという仕組みです。装置は無色透明である上に、厚みはわずか0.5mm程度しかありません。違和感なく装着できるのも、人気の理由の一つと言えます。
さらにマウスピース装置は、患者さまご自身での着脱・洗浄が可能です。食事や歯磨きの際は取り外せるため、普段通りに食事が楽しめます。磨き残しが生じる心配もないでしょう。

 

ワイヤー矯正のデメリット

何事もよい点ばかりに着目しがちですが、メリットとデメリットの両方を知った上で治療方法を選ぶことが重要です。
ここからは、ワイヤー矯正のデメリットについて解説します。

1.痛みを伴うことがある

装置を付け始めたばかりの頃は、痛みや違和感が生じることがあります。中には、歯が浮いていると感じる方もいらっしゃるでしょう。マウスピース矯正に比べてこのような症状が出やすいですが、1週間~10日程度で徐々に収まります。また治療中もひと月に1回来院していただき、装置の調整をします。その際も、数日間は痛みが生じることがあります。
さらに、食事の内容によって痛みが起こる方もいらっしゃいます。必要に応じて、ゼリーやおかゆなどの軟らかいものを口にしましょう。我慢できない痛みの場合は、痛み止めの服用をおすすめします。

2.装置が目立ちやすい

ワイヤー矯正にはブラケットを表面に装着する「表側矯正」と、裏側に装着する「裏側矯正」があります。前者は装置が目立ちやすいため、近距離で見ると治療中であることが第三者に知られるかもしれません。中には「クリアブラケット」や「ホワイトワイヤー」という、目立ちにくい見た目のワイヤー装置もありますが、費用が加算される場合が大半です。費用をなるべく安く抑えたい方には、難しい選択となるでしょう。

3.セルフケアがしにくい

ワイヤー矯正では、ワイヤーを歯に固定して生活します。食事や歯磨きのときも取り外しができないため、食べ物のカスが詰まったり磨き残しが生じやすくなったりするでしょう。矯正中にむし歯や歯周病に感染した場合は、矯正を中断して治療を行わなければならないケースもあります。スムーズに歯並びを整えるためには、日々の丁寧な歯磨きが欠かせません。
歯科医院で指導されたブラッシングの手順や方法を徹底し、口腔内を清潔に保ちましょう。「ワンタフトブラシ」など、ヘッドが小さめで小回りがききやすい歯ブラシを使用するのがおすすめです。

4.装置が外れることがある

ワイヤー矯正に用いるブラケット装置は、強い衝撃や硬いものに弱いという性質があります。何かの拍子にブラケット装置が外れた場合、ご自身で再度付け直すことができません。歯科医院へ行かなければならず、少々手間がかかってしまいます。
マウスピース装置にも割れたり欠けたりするリスクがありますが、着脱はご自身でできるため日頃の手入れが簡単です。

5.着脱ができない

一度装着した装置は、基本的に治療が終わるまで外せません。症例によっては歯科医院で一時的に外すことがありますが、患者さまご自身の意思では外せない仕組みです。
装置と歯の間に食べ物カスが詰まっても、むやみに爪楊枝などを使うと装置が外れる恐れがあるため注意が必要です。歯ブラシやうがいで取り除きましょう。

田島デンタルオフィス