むし歯の症状と聞いて、まず一番に何を思い浮かべるでしょうか?
きっと大半の方が、歯の痛みをイメージすると思います。痛みの程度は、むし歯の進行具合によって大きく異なり、重度になると耐えられないほどの激痛がはしります。実はこの状態になると、頭痛を併発する恐れがあることをご存知でしょうか?
今回は、むし歯と頭痛の関係性について詳しくお伝えします。

むし歯と頭痛の意外な関係

むし歯と頭痛は一見無関係のようですが、そのようなことはありません。むし歯が進行すると、頭痛を併発する場合があります。
むし歯が進行すると、まず歯に痛みが出るようになります。この状態を放っておくと細菌が歯髄(歯の神経)へ到達し、炎症を起こして激痛がはしるようになるでしょう。
すると痛みのある歯を庇う形で、食事のときにほかの歯ばかりを使うようになります。噛み合わせのバランスが悪くなり、一方の首や肩へ負担がかかります。その結果、「緊張型頭痛」と呼ばれる頭痛を引き起こしてしまうのです。症状の程度は人によって異なり、数時間で治まるケースもあれば数日間続くこともあります。

ほかにも特定の歯ばかりを使用していると、バランスの悪化で顎関節症を引き起こす恐れがあります。顎関節症も、実は頭痛が起こる原因の一つです。
適切なむし歯治療を受けることで噛み合わせが改善されれば、顎関節症や緊張型頭痛は次第に治まるはずです。
それでも頭痛が続く場合は、むし歯菌が原因とされる次のいずれかの病気を疑いましょう。

むし歯菌が原因の頭痛

歯髄炎

まず疑われるのが、血管や神経が通る歯髄で起こる「歯髄炎」です。炎症によるもので、ズキズキと痛むのが特徴です。
軽度であれば頭痛すら起こりませんが、むし歯を長年放置していた場合は危険です。強い頭痛が生じ、最悪の場合は歯髄が壊死して根管治療が必要となります。
歯髄炎による感染症が原因で、歯の根管へ腫瘍ができるケースもあり侮れない病気の一つです。

歯性上顎洞炎

奥歯のむし歯を放っておいた場合や、過去の根管治療に不備があった場合に起こるのが「歯性上顎洞炎」です。
歯の根管が炎症を起こし、副鼻腔炎を発症させます。頭痛に加えて、頬に同じような痛みが出る点が特徴です。
また口臭の悪化や後鼻漏、黄色や緑色の鼻水を確認した場合は歯性上顎洞炎を疑ってください。

脳炎

脳内へ白血球が入り込み、炎症を起こす病気が「脳炎」です。中でも、むし歯菌が原因の場合は「感染性脳炎」に該当します。
頭痛のほか、発熱、意識障害や痙攣といったさまざまな症状が見られます。麻痺や異常な言動が出ることもあり、日常生活へ支障をきたす恐れもある病気です。
ほかの病気に比べると可能性は低いですが、疑うべき病気の一つとして知っておいてください。

まとめ

むし歯を長年放っておくと、頭痛を併発する可能性があります。歯髄炎や歯性上顎洞炎、脳炎といった重度の病気を引き起こさないためにも、むし歯は早めに治療しましょう。
歯に痛みが出たら歯科医院を受診するのはもちろん、できれば数ヶ月に1回は歯科健診を受けることをおすすめします。

田島デンタルオフィス