突然ですが、あなたは「ブラックトライアングル」という言葉を耳にしたことがありますか?
歯と歯の間と歯茎とに生じた隙間のことをいい、成人の歯列矯正でよく見られます。黒い三角形のように見えることから、その名がついたとされています。
そこで今回は、ブラックトライアングルが生じる理由や予防法を紹介します。できやすい人とそうでない人の違いについても解説しますので、ぜひご覧ください。

なぜできるのか?

ブラックトライアングルは前歯に生じることが多く、中でも下の前歯によく見られます。後方の歯には生じにくく、奥歯にできることはまずないでしょう。
あなたの前歯には、黒い三角形が見えるでしょうか?ぜひ鏡を使って確認してみてください。
黒い三角形の隙間ができる理由として、主に次の4点が考えられます。

≪理由1≫
歯茎の腫れが、歯列矯正によって改善されたため
≪理由2≫
もともと歯槽骨が不足していた部分に歯を並べたため
≪理由3≫
加齢により代謝が低下し、歯槽骨の高さが低くなったため
≪理由4≫
食いしばりや噛みしめによって、歯だけでなく歯槽骨や周辺組織に損傷(咬合性外傷)が生じたため

特に起こりやすいのが、1つめに挙げた理由です。
歯並びが乱れた状態で生活をしていると、ブラッシングでは落としきれない歯垢(プラーク)や食べカスが歯間に溜まります。その結果、歯茎が慢性的な炎症を起こして常に腫れた状態となってしまうのです。歯並びを整えることにより、歯茎のコンディションが改善されて炎症が治まります。そして見た目のボリュームが減り、歯茎が下がって黒い三角形が生じます。
つまりブラックトライアングルは、歯並びと歯茎の状態がよくなったからこそできるものだとも言えます。
ただ見た目の問題などを考えると、できれば発生を避けたいのではないでしょうか?

そこで、できやすい人に特徴はあるのかどうかについて解説します。

 

できやすい人とそうでない人の違い

実はブラックトライアングルが生じやすい人の特徴や、矯正方法の違いによる差はほとんどありません。ただ強いて言うならば、裏側矯正は若干商事やすい傾向にあります。裏側矯正の治療では歯に力がかかりやすいため、歯がスピーディーに動くことで歯槽骨の形成が間に合わなくなってしまうからです。歯が正しく並んだあとに歯茎が下がり、ブラックトライアングルが発生する可能性があります。

 

予防する方法はある?

ブラックトライアングルの発生を予防するポイントとなるのが、毎日のブラッシングです!
あなたは歯を磨くときに、歯をゴシゴシとこすって歯間の歯垢を取り除いていませんか?強い刺激を与えることで、歯茎が下がる場合があります。また歯間ブラシやフロスを使う際も、歯茎に強い刺激を与えないよう注意してください。
歯垢は、強い力で磨かなければ落ちないわけではありません。正しい角度でやさしくブラッシングを当てれば、比較的簡単に除去できます。なかなか落ちない場合は、歯垢が歯石になっているかもしれません。ご自身で完全に取り除くことは難しいため、歯科医院で一度クリーニングを受けましょう。定期的に検診を受けて取り除くことが望ましいですが、一度リセットすることで口腔内の清潔を維持しやすくなるでしょう。

 

ほかの治療に影響することはある?

ブラックトライアングルの存在が、直接歯の機能に影響することはまずありません。歯列矯正の途中であっても、中断・中止することなく治療を進めることが可能です。
ただし、歯周病によって歯槽骨が減少している場合は注意が必要です。「歯がグラグラしていないか」ということを確認し、不安な方は一度歯科医院を受診しましょう。歯周病は自覚症状が出にくいため、歯科医院で早期発見・治療を行うことが大切です。
中には前歯に黒い三角形が生じ、審美性(見た目)を気にする方がいらっしゃるかもしれません。感じ方には個人差がありますが、下の前歯であれば第三者の目につく心配はそれほどないでしょう。上の前歯に生じた場合は、会話や笑顔で口を開けた際に気になる方もいるかもしれません。
では、黒い隙間を埋めるための有効な治療方法はあるのでしょうか?

 

放っておいて治る可能性はある?

残念ながらブラックトライアングルが自然治癒することはなく、根本的な原因(歯槽骨の減少)にアプローチできる治療方法も今のところ確立されていません。
ただ「IPR(歯冠形態修正)」と呼ばれる治療を用いて、目立ちにくい見た目にすることが可能です。具体的な手順としては、歯と歯の間を歯科用のやすりで0.1mm~0.5mm程度削り、歯列矯正で隙間を埋める方向へ歯を移動させます。

ただ歯を動かすだけでは隙間は埋まりませんが、部分的に削ることで完全に閉じられるのです。

 

心配な方は、まずは歯科医院へご相談を!

・ブラックトライアングルがすでに生じており、見た目が気になる方
・ブラックトライアングルの発生が心配で、歯列矯正をためらっている方

上記に該当する方は、まずはかかりつけの歯科医院でご相談ください。発生のリスクには、かなり大きな個人差があります。歯茎の状態や不正歯列の程度などにより、発生の可能性が低い場合もあるでしょう。

 

田島デンタルオフィスでは、患者さまのお悩みをしっかりとヒアリングし、お口の中を丁寧に拝見します。その上で起こりうるリスクを事前に予測し、最適な治療をご提案いたします。ブラックトライアングルを始め、歯茎の腫れや歯列矯正などについてお困りのことがありましたら、ぜひ一度ご来院ください。
医療器具の滅菌や定期的な換気など、感染症対策を万全にしてお待ちしております。

田島デンタルオフィス