クリーニング時に起きる痛みや出血について
普段歯が健康的でトラブルがない場合には、クリーニングを行っても出血や痛みが少ないと考えられます。一定の出血や痛みは、綺麗になっている証としてクリーニングにはつきものですが、どの様な場合に痛みや出血を伴うのでしょうか。まずは、起こり得る症状について具体的にご紹介いたします。
知覚過敏の症状
知覚過敏は、エナメル質が薄くなっていたり、傷が付いていることによって、神経の通う象牙質にダメージが伝わりやすくなる病気を指します。強く付着している歯石を除去すると、エナメル質の表面も少しは剥がれるので、知覚過敏の症状を引き起こしてしまうケースがあります。エナメル質は時間の経過と合わせてミネラル分が再形成され修復(再石灰化)しますので、知覚過敏の症状は徐々に解消されてきます。
歯茎後退の症状
歯周ポケットの深くに存在している歯石を除去した後には、周りの歯茎が緩んでしまうことがあります。これは時間の経過とともに改善され、やがて歯茎が引き締まります。それに合わせて、歯茎が衰退したように見える場合もあります。健康な状態の歯周ポケットは、深さが1ミリから2ミリ程ですので、歯茎が改善され歯周ポケットが浅くなっていると、歯茎が下がって見えます。
クリーニング時の痛みや出血の原因
口腔内が悪い方は、クリーニングで出血や痛みが出やすいと言われています。そして、歯のクリーニングでは出血が起きて、強い刺激が生じることもあります。歯茎に腫れがある場合や、固まった歯石などが原因になっているからです。出血や痛みの原因をご紹介いたします。
エナメル質の損傷
プラークが固まり、歯石となってから長期間放置していた場合には、歯石を取り除く時に、エナメル質の表面を剥がしてしまうケースもあります。損傷したエナメル質は、自然に再石灰化(ミネラル分の再生)されて、1日から数日程度で改善しますが、その期間、しみるような痛みが生じることがあります。
歯周ポケットからの歯垢の除去
プラークがミネラル分や血液などと混じることで、歯の表面に石のように付着してしまうのが歯石です。つまり、セルフケアでプラークが除去できない部分には、歯石が形成されやすく歯の隙間や歯周ポケット(歯と歯茎の隙間)などに歯石が出来上がります。特に、歯周ポケットが深くなり、その奥に歯石が形成された場合には、除去する際に出血や痛みを伴うことが多いです。
クリーニング時の痛みや出血を軽減する方法
ご紹介したように患者様によっては歯のクリーニングでは痛みや出血が出る場合もありますが、事前に準備をすることでそれを軽減することも出来ます。クリーニング前後の対処法についてご紹介します。
クリーニング前
経験豊富な歯科衛生士さんへ依頼する
クリーニングで起きる痛みや出血は、歯周ポケットの深さや歯石の状態によってどうしても避けられない場合もあります。ですが、クリーニングの経験豊富な歯科衛生士さんであれば、このような痛みを少なくすることができる可能性もあります。
歯石が固まる前に除去する
定期的に歯科医院でクリーニングをすることが、痛みや出血を軽減させる最善の方法です。歯石は、プラークがミネラル分と結びついて形成されたもので、早い場合には48時間程度で完成します。その状態を放置してしまうと、より強固になるので、歯石が柔らかいうちに定期的に掃除をすることがベストです。
クリーニング後
知覚過敏用の歯磨きで緩和
知覚過敏の症状は、クリーニングで一時的にダメージを負ったエナメル質が自然に回復することで、徐々に解消されていくものです。フッ素配合のジェルで再石灰化を促したり、知覚過敏用のブラッシングで知覚過敏を緩和することも出来ます。
丁寧なブラッシング
普段から刺激のある飲食物を遠ざけて、やさしいブラッシングを心がけましょう。歯周ポケット内の歯石を歯科医院で取り除いた後は、一時的に歯茎が緩み、痛みがでる可能性があります。歯茎は次第に引き締まって自然に痛みが無くなりますが、強い痛みが長期間続いたり腫れや発熱が起きた際には、すみやかに歯科医院に相談するようにしてください。